写真で見るKubeCon+CloudNativeCon China 2025

2025年10月21日(火)
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
KubeCon+CloudNativeCon China 2025、ショーケースとカンファレンスの印象などを紹介する。

KubeCon+CloudNativeCon China 2025は、約1,000名のキャパシティの会場を使って開催された。具体的には、香港の高層ビルの高層階にあるホテルの宴会場にキーノート会場、サブトラックを4つ、そしてショーケースという組み合わせで実施された。メインのキーノート会場の裏手にショーケースのためのスペースは設置され、余裕のあるスペースでの展示となった。この稿ではショーケースのようすなどを紹介する。

「いつもの」ブース設計でコストをかけないHuawei

カンファレンスのメインスポンサーであるHuaweiはどのKubeConでもほぼ同じブース設計で壁面に液晶モニターを設置し、フロント部分にカウンターというシンプルな構成。モニターがあるとは言っても説明員が付いてデモを行う設計ではなく単にスライドが再生されるというやり方で、ショーケースに対してコストをかけないという考えがはっきり表れていると言える。

Huaweiのブース。中央にいるのはBryan Che氏

Huaweiのブース。中央にいるのはBryan Che氏

この写真には中央にHuaweiのチーフストラテジーオフィサーのBryan Che氏が写っているが、香港が地元のChe氏にとってはホームゲームと言ったところだろうが、特別な仕掛けがあるわけでもなく、良い意味で力の抜けたHuaweiのブースであった。

こちらもシンプルなByteDance

ByteDanceのブース。KubeWharfをメインに

ByteDanceのブース。KubeWharfをメインに

ByteDanceも壁面にKubeWharfのパネルを設置しただけのシンプルな内容。中央に写っている眼鏡の男性はAIBrixのセッションを行ったJiaxin Shan氏だ。ByteDanceはブースよりもセッションのほうにリソースを注いだという形だろう。

中国人エンジニアにアピールするDaoCloud

DaoCloudのブース。ここもシンプルなパネルのみ

DaoCloudのブース。ここもシンプルなパネルのみ

DaoCloudは今回のカンファレンスでは存在感を大きく示しており、ライトニングトークを含めると13のセッションでプレゼンテーションを行っていた。パネルが中国語で書かれているというところから判断すれば、多くの中国人エンジニアにアピールするという手法は間違っていないと思える。

ICON Business Systems

香港ベースのインテグレーター、ICON Business Systemsのブース

香港ベースのインテグレーター、ICON Business Systemsのブース

香港がベースのインテグレーター、ICON Business Systemsもブースを出展。ここではPure StorageのPortworxと中国国内向けのGitリポジトリであるGiteeなどを紹介していた。このブースが人気だったのはノベルティを配布し続けていたことが主な要因だろう。GiteeはGitHubも認める中国での主要なソースコードリポジトリだが、Gitee自体がこのようなカンファレンスには出てこないところも特徴的と言える。

Alibaba Cloud

Alibaba Cloudのブース。字が小さく遠目には何が書いてあるのかわからない

Alibaba Cloudのブース。字が小さく遠目には何が書いてあるのかわからない

Alibaba Cloudのブースもパネルのみだが、パネルに印刷された文字が小さくてよく分からないのが残念だった。ちなみに配布していたステッカーはOpenYurtとOpenKruiseGameだ。パネルにはその2つの他にKoordinatorやKubeVela、Dragonflyなどが書かれてはいたが、存在感は薄かった。

インドのZOHOの別ブランドであるManageEngine

インドのZOHOの別ブランド、ManageEngineのブース

インドのZOHOの別ブランド、ManageEngineのブース

インドのZOHOが展開するManageEngineもブースを出展。AIを使っての差別化が訴求ポイントだろう。AI Powered Full Stack Observability(FSO)がメインのプロダクトだ。ここもノベルティの配布で人気を博していた。

欧米のベンダーも勢揃い

欧米のベンダーとしてはIntel、Arm、SUSE、Fortinet、F5、Akamai、AWSなどが出展していた。

Armのブース。ノベルティ目当ての参加者が多め

Armのブース。ノベルティ目当ての参加者が多め

Intelのブース。パネルに何の工夫もないのはどうしてだろう?

Intelのブース。パネルに何の工夫もないのはどうしてだろう?

SUSEのブース。いつものカメレオンのぬいぐるみが人気

SUSEのブース。いつものカメレオンのぬいぐるみが人気

Akamaiのブース。くじ引きで大きめの賞品を提供することで人気となっていた

Akamaiのブース。くじ引きで大きめの賞品を提供することで人気となっていた

AWSのブース。デモを見せられるようなブース展開

AWSのブース。デモを見せられるようなブース展開

欧米のKubeConとは勝手が異なるCNCF

アメリカやヨーロッパのKubeConではCNCFのプロジェクトのブースはパネルと説明員という最低限の形態であるにも関わらず常に人気となっていたが、中国ではようすが違っていた。

CozystackはCNCFのサンドボックスプロジェクト

CozystackはCNCFのサンドボックスプロジェクト

KarpenterやCiliumのブース

KarpenterやCiliumのブース

エントランス直後に設置されたプロジェクトブースだが主に素通りされていた

エントランス直後に設置されたプロジェクトブースだが主に素通りされていた

また欧米では初日からジョブボードには多くの書き込みがなされていたが、中国圏では求人と採用に関しては状況が違うということだろう。

開始直後のせいもあり、まだほぼ空っぽだったジョブボード

開始直後のせいもあり、まだほぼ空っぽだったジョブボード

CNCFのステッカーも人気は今ひとつ

CNCFのステッカーも人気は今ひとつ

OpenTelemetry

OpenTelemetryのブースにいたSteve Flanders氏

OpenTelemetryのブースにいたSteve Flanders氏

OpenTelemetryのコントリビューター、Steve Flanders氏もブースにいて対応をしていたが、多くの参加者が集まる訳でもなく、参加者がいない時間を使ってインタビューを行える程度の暇さ加減であった。

HAMi

HAMiのブース

HAMiのブース

異機種のGPUクラスターをKubernetes上からスケジューリングするプロジェクトであるHAMiもブースを設けていたが、実に暇そうであった。しかしセッション自体は非常に興味深く、生成AIのためにGPUクラスターを効率的に運用するためのノウハウがしっかり提案されていた。スライドが公開されているので参考にして欲しい。

●参考(PDF):Smart GPU Management: Dynamic pooling, Sharing, and Scheduling for AI workloads in Kubernetes

CNCFのプロジェクトブースは閑古鳥なのに奥のベンダーブースは大盛況

CNCFのプロジェクトブースは閑古鳥なのに奥のベンダーブースは大盛況

HAMiのブースの人気が今イチであった理由のひとつは、ノベルティの配布がなかったからかもしれない。前述のCNCFのプロジェクトブースもノベルティがないためのように思われる。

KubeCon China 2025はこういう場所で開催されていた

最後に会場近くの雰囲気をお届けしよう。

高層ビルを覆う竹材による足場

高層ビルを覆う竹材による足場

中国では高層ビルの外壁の足場が竹材で組み上げられていることが常識のようで、この高さまで組み上げも崩れないというのは地震がないということも理由なのだろうか。日本人の眼からは驚異に写る。

雑居ビルの合間にある屋台。食べ物ではなく花や植木がメインというのが珍しい

雑居ビルの合間にある屋台。食べ物ではなく花や植木がメインというのが珍しい

雑居ビルの外にある電池交換の屋台でおじさんが仕事中

雑居ビルの外にある電池交換の屋台でおじさんが仕事中

香港の商業施設は高層ビルのモールだけではなく地下も含めてきれいに整理されていた状況だったが、稀にこのような最小のスペースで手仕事をするという屋台に遭遇することもある。

初日の夕食はここで。非常に狭い店内で隣の宅配便の社員が夕食を食べていた

初日の夕食はここで。非常に狭い店内で隣の宅配便の社員が夕食を食べていた

カンファレンス会場の下層階にあるピックルボールのコート。香港でも流行っているようだ

カンファレンス会場の下層階にあるピックルボールのコート。香港でも流行っているようだ

2024年に比べて会場のレベルも上がり、参加者も増えて充実のカンファレンスだったと言えるだろう。中国語でのセッションが解禁になっているのはパンデミック前の上海のKubeCon Chinaでも同様だったが、セッション後の質疑応答も盛んに行われ、有益な情報交換が行われたことは間違いない。機械翻訳も徐々に品質が向上していることを考えると、2026年に横浜で開催されるKubeCon Japanでも日本語によるセッションを解禁して欲しいと切に願う。

著者
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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