連載 [第1回] :
  AI CRUNCH

【AI CRUNCH】生成AIのすごい企業調査レポート

2025年8月26日(火)
池田 大喜
AI CRUNCHでは生成AIを活用している人が注目している「生成AIのすごい企業」を調査し、その「すごさ」の秘密を分かりやすく発信して行きます!

はじめまして。新連載「AI CRUNCH」監修 兼 編集の池田です。本連載では、生成AIを活用している人が注目している「生成AIのすごい企業」を調査し、その「すごさ」の秘密を分かりやすく発信して行きます!

記念すべき第1回目の今回は、生成AIコミュニティ「IKIGAI Lab.」のメンバーに「生成AIのすごい企業」についてアンケート調査を実施したので、その結果を紹介します。

調査概要

生成AIコミュニティ「IKIGAI Lab.」メンバーを対象に調査を実施しました。アンケートに回答してくれたメンバーは、IKIGAI Lab.は生成AI利用率が100%かつ、90%以上が週5日以上、生成AIを活用しています。そんなメンバーに、以下のアンケートをとりました。

  • 自分が推したい生成AIが進んでいる企業を教えてください。(最大3社)
  • 推しの理由を教えてください。(最大3社)

調査結果

「自分が推したい生成AIが進んでいる企業」を調査したところ集まった業界は、情報通信業が51.2%を占めていました。次点として製造業が20.9%、学術研究、専門・技術サービス業が14.0%でした。

各業界で以下のような企業が注目されていることが分かりました。

情報通信業:ソフトバンク、トヨタコネクティッド、Givery、Microsoftなど
製造業:旭鉄工、日清食品、AMATAMA、日立など
学術研究、専門・技術サービス業:Givin’ Back株式会社、ソウルドアウトグループなど

筆者作成

票が集まった企業のコメントを見ると「生成AIが進んでいる」の観点については、下記の4つに分類できます。

①先行導入・市場リーダーシップ

早期全社導入:
2年前にトップダウンで生成AIを全社展開し、業界最速での実運用を実現
外部発信力:
日立ユーザー会や業界カンファレンスで成功事例を積極的に共有し、リーダーシップを鮮明化
共同研究・提携:
ソフトバンクとの共同研究契約やOpenAI提携など、外部とのアライアンスを強化

②組織体制・ガバナンス

トップダウン牽引:
社長自ら「生成AIにオールイン」と宣言し、組織変革をリード
ボトムアップ支援:
社内勉強会やコミュニティ運営で現場ノウハウを吸い上げ、ナレッジマネジメントを実装
施策×リスク管理:
レイヤー別に施策を体系化しつつ、情報漏洩対策などガバナンスを同時推進

③技術開発・インフラ×連携

自前インフラ構築:
早期にGPUサーバーやエッジコンピュータを導入し、高速な実装基盤を保持
独自モデル最適化:
DeepSeek-R1日本語チューニングモデルを公開し、タスク特化ファインチューニングを迅速実施
最新技術活用:
RAGを用いた問い合わせ自動化やXR/AIエージェント開発で現場適用を推進

④教育・リスキリング×業務改善

全社研修体系:
ChatGPT全社導入+プロンプト研修やワークショップで、AIリテラシーを底上げ
現場直結PDCA:
管理職向けツール開発(T-Copilot等)をPDCAで回し、現場課題を即解決
生産性向上効果:
問い合わせ対応工数3割削減、一部チームで90%業務効率化見込みなど具体成果

まとめ

本調査を通じて明らかになったのは、「生成AIのすごい企業」は、単なる技術導入にとどまらず、4つの本質的な取り組みが共通して存在しているという点です。

  1. 先行導入とリーダーシップの確立
    業界に先駆けて生成AIを全社的に導入した企業は、外部発信や提携を通じて市場に対するリーダーシップを明確に示している。これは単なる導入スピードではなく、「周囲を巻き込む戦略性」の表れとも考えられる
  2. ガバナンスと組織文化の両輪運用
    トップダウンによる方針明示と、ボトムアップによる現場の知見活用。この両者を接続し、かつガバナンス(リスク管理)を同時に構築している点は、再現可能性の高いDXの教科書的アプローチである
  3. 技術と業務をつなぐインフラ・連携戦略
    自社で技術基盤を構築しつつ、オープンな技術連携(例:RAGやエージェント)を組み合わせることで、現場の課題解決に直結する応用力を確保している。ここには“研究”ではなく“実装”に重きを置いた姿勢が見て取れる
  4. 人材育成と業務変革の連動
    生成AIを業務に根付かせるには、教育と現場適用を分断しないことが鍵。研修と実務を連動させ、PDCAサイクルを素早く回すことで、組織全体として生産性を実感できる仕組みが形成されていた

これらの共通項から見えてくるのは、「生成AI活用の成功」は技術単体の卓越性よりも、「人/組織・仕組み・文化」の複合的な変革に支えられているという事実です。今後の連載では、これらの観点を軸に、個別企業の事例を深掘りしながら「すごさの構造」をさらに分析していく予定です。次回もぜひご期待ください。

・大手自動車部品サプライヤでDX推進のプロジェクトマネージャーとして活動
・「TechGALA」で登壇
・「生成AI EXPO in 東海」で登壇
・地元静岡で生成AIやコミュニティに関するイベントを実施

連載バックナンバー

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