mablがAIエージェント機能をリリース ーテストの作成から失敗分析までLLMをフル活用

テスト作成から失敗分析・自動修復まで
AIエージェントが担う
mablは、AIエージェントによる自律型テスト機能の提供開始を発表した。これは、昨年の同社カンファレンス「mabl Experience 2024」でも予告されていたもので、自然言語によるテスト作成、LLMによるテスト失敗原因の分析自動化とテスト自動修復の強化、画像認識と従来のコードベース分析を組み合わせたビジュアルアシストの、4つの柱からなる。Azeri氏は「mablは、テストの作成、実行、メンテナンスのあらゆる工程にエージェント的(Agentic)な機能を組み込んだ。これらのエージェントは、まるでチームに加わった新しいテスターのように開発チームの作業をサポートする」と強調する。
まずは、テスト作成エージェントだ。これは、自然言語により、エンドツーエンドテスト全体を自律的に構築できる機能だ。例えば、決済サービスへのアクセス、クレジットカードへの申し込み、カード作成が成功したかどうかといった一連の流れを伝えれば、エージェントが自動的にテストを作成する。その際、必要な変数やテストデータも同時に生成される。ワークスペース内で関連するテストフローがあれば、自動的にインポートして再利用することができる。これらの特徴により、堅牢なテストを簡単に生成することができる。
次に、自動テスト失敗分析の機能だ。mablはテストを実行するたびに、スクリーンショットやDOMのスナップショット、HTTP通信の履歴など、膨大なデータを収集する。これらの情報をGoogle Gemini APIにより分析することで、テストが失敗した理由や修正方法を自動的に提案してくれる。機能のリリース以降は、ワークスペース内のすべてのテスト失敗に対して、バックグラウンドで自動分析するようになっているという。もちろん、これらのデータがmablやGoogleの学習に使用されることはない。
さらに、テストのメンテナンス、特に修正作業に費やす時間を削減するため、mablの自動修復機能にもLLMを統合した。画面上のテキストやビジュアルの差し替えなど、アプリケーションが変更されると、新しいロケーターを自動で特定して修正する。
また、モバイルアプリのテストについては、ロケーターが見つかりにくかったり、アプリケーションの複数のレイヤーを認識しづらいことが課題だった。そこで新たにリリースした「ビジュアルアシスト」機能では、LLMに視覚的な要素を学習させることで、正確な識別を可能にした。これにより、モバイルアプリのテスト作成が大幅に簡素化され、テストの不安定さも軽減される。
人間の判断を軸に
エージェントと共創する未来へ
これらのAIエージェント機能について、Azeri氏は、人間によるコントロールの意義を強調する。
「AIや自動化、そして何より人間の洞察を活かして、高品質なアプリケーションの実現をより簡単にすることが、mablの一貫したビジョンだ。AIエージェントによってテストがブラックボックス化するのではなく、人間が指示を出し、それに従ってエージェントが行動するという点が重要だ」
さらに、今後2四半期にもモバイル、AI、APIテストなど、さまざまな分野でエージェント的機能をさらに追加していくつもりだと、Azeri氏は言う。
日本市場への注力とコミュニティ支援の強化
新機能のアナウンスに加え、Azeri氏は日本のコミュニティに賛辞を送るとともに、今後より一層コミュニティ支援を強化することを約束した。従来の体制を刷新し、新たにセールスエンジニア、カスタマーサクセス・セールスを設置するなど、mabl Japanのチームも大幅に強化した。
「日本拠点を開設してから5年、国内のユーザーコミュニティやパートナーとのつながりが、mablを日本語化する原動力となった。今年はコミュニティを再起動する年と位置づけ、mabl Japanのメンバーとともに盛り上げていきたい」(Azeri氏)
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