連載 [第2回] :
  AI CRUNCH

ヒューマノイド開発を手がけるAMATAMAは、なぜ「すごい」のか ーChatGPTと描く2050年の未来

2025年9月26日(金)
Daiki Ikeda
AI CRUNCHでは生成AIを活用している人が注目している「生成AIのすごい企業」を調査し、その「すごさ」の秘密を分かりやすく発信して行きます!

本連載「AI CRUNCH」は「生成AIを活用している専門家が注目する『すごい企業』を調査し、その秘密を分かりやすく発信する」をコンセプトに掲げています。

記念すべき『すごい企業』第1社目は、次世代ヒューマノイド・ロボットに向けてプラットフォーム開発を手がける「AMATAMA株式会社」です。

AMATAMAに注目する理由は、AIをエッジで高速に動かす「コンピュータ開発」で足元の収益を確保しつつ、その利益を「次世代ヒューマノイドのプラットフォーム開発」という壮大な目標に投資している点です。一見、無謀にも見えるこの挑戦の裏には、生成AIとの驚くべき関係がありました。

たった1人のフルコミットメンバーが動かす壮大な事業

まず驚くべきは、この壮大な事業を動かすフルコミットメンバーが、代表の堀内氏ただ1人ということです。約15名の業務委託メンバーと共に、なぜこれほどの実績を上げ、人を惹きつけられるのでしょうか。その答えは、同社が掲げる揺るぎない「ノーススター(北極星)」にあります。

「全ての労働」ではなく「不当な労働」を置き換える

AMATAMAが目指すのは、単一の『作業』の置き換えではありません。人間が行わなくても良い『作業』が世界から無くなることです。

「僕らが目指しているのは、人間が持つ様々な能力を駆使して行われる『労働』そのものを置き換えたい。そうなると、途端に人間と同じような身体の仕組み、そして知能が必要になってくるんです」と堀内氏は語ります。

産業用ロボットによる「作業の代替」の先にある、「労働の代替」。この明確な目標が、仲間を集め、事業を前に進める活動理念となっているようです。

「事業の核は、ChatGPTと考えた」という衝撃

では、同社のすごさの根源はどこにあるのでしょうか。それは、事業の根幹を生成AIと共に創り上げたという衝撃的な事実にあります。

独立当初、堀内氏はヒューマノイドにおける事業目標をどう体系立てるか悩んでいました。堀内氏は、自身の構想を確かめるべくAIに問いかけました。すると返ってきた答えは、巨大で複雑なシステム全体を、役割や責任に基づいて複数の「層(レイヤー)」に分割し、それぞれの層が独立して機能するように設計する「ハイアラキカル・コンピューティング・システム(階層的な計算体系)」という内容でした。まさに、彼の考えの芯を完璧に突く説明でした。

多くの企業が既存業務の「自動化」にAIを使おうとする中、AMATAMAはAIを自らの思考の壁を壊す「共創パートナー」と位置付け、事業計画の根幹を築き上げたのです。

将来展望:AGIのその先へ。2050年、ASIが拓く人類の未来

AIとの対話で強固な骨格を得たビジョンは、AGIの、さらにその先を見据えています。

「今のAIは、インターネット上の言語空間だけで学習しており、物理世界を本当の意味では理解していません」

堀内氏は、ロボット自身が五感で外界を学び、言語とリアリティ=Physical を結びつけることで、初めてAGIは完成すると考えています。その先に実現されるASIの世界は、2050年頃には確実にできていると考えているそうです。

※ AGI:汎用人工知能
  ASI:人工超知能

まとめ:AMATAMAの「すごさ」は共創パートナーがAI

AMATAMAが「生成AIのすごい企業」と評価される理由は、単なる技術活用の巧みさではありません。AIを自らの思考を拡張する「共創パートナー」として捉え、壮大なノーススターを描き、未来そのものを創造しようとする姿勢にあります。

生成AIを単なる道具として使うのか、それとも自らの限界を突破するパートナーとして迎え入れるのか。AMATAMAの挑戦は、私たちに、その本質的な問いを投げかけています。AMATAMAの今後が楽しみです。

・「TechGALA」で登壇
・「生成AI EXPO in 東海」で登壇
・地元静岡で生成AIやコミュニティに関するイベントを実施

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