ヒューマノイド開発を手がけるAMATAMAは、なぜ「すごい」のか ーChatGPTと描く2050年の未来

本連載「AI CRUNCH」は「生成AIを活用している専門家が注目する『すごい企業』を調査し、その秘密を分かりやすく発信する」をコンセプトに掲げています。
記念すべき『すごい企業』第1社目は、次世代ヒューマノイド・ロボットに向けてプラットフォーム開発を手がける「AMATAMA株式会社」です。
AMATAMAに注目する理由は、AIをエッジで高速に動かす「コンピュータ開発」で足元の収益を確保しつつ、その利益を「次世代ヒューマノイドのプラットフォーム開発」という壮大な目標に投資している点です。一見、無謀にも見えるこの挑戦の裏には、生成AIとの驚くべき関係がありました。
たった1人のフルコミットメンバーが動かす壮大な事業
まず驚くべきは、この壮大な事業を動かすフルコミットメンバーが、代表の堀内氏ただ1人ということです。約15名の業務委託メンバーと共に、なぜこれほどの実績を上げ、人を惹きつけられるのでしょうか。その答えは、同社が掲げる揺るぎない「ノーススター(北極星)」にあります。
「全ての労働」ではなく「不当な労働」を置き換える
「僕らが目指しているのは、人間が持つ様々な能力を駆使して行われる『労働』そのものを置き換えたい。そうなると、途端に人間と同じような身体の仕組み、そして知能が必要になってくるんです」と堀内氏は語ります。
産業用ロボットによる「作業の代替」の先にある、「労働の代替」。この明確な目標が、仲間を集め、事業を前に進める活動理念となっているようです。
「事業の核は、ChatGPTと考えた」という衝撃
では、同社のすごさの根源はどこにあるのでしょうか。それは、事業の根幹を生成AIと共に創り上げたという衝撃的な事実にあります。
独立当初、堀内氏はヒューマノイドにおける事業目標をどう体系立てるか悩んでいました。堀内氏は、自身の構想を確かめるべくAIに問いかけました。すると返ってきた答えは、巨大で複雑なシステム全体を、役割や責任に基づいて複数の「層(レイヤー)」に分割し、それぞれの層が独立して機能するように設計する「ハイアラキカル・コンピューティング・システム(階層的な計算体系)」という内容でした。まさに、彼の考えの芯を完璧に突く説明でした。
多くの企業が既存業務の「自動化」にAIを使おうとする中、AMATAMAはAIを自らの思考の壁を壊す「共創パートナー」と位置付け、事業計画の根幹を築き上げたのです。
将来展望:AGIのその先へ。2050年、ASIが拓く人類の未来
AIとの対話で強固な骨格を得たビジョンは、AGIの、さらにその先を見据えています。
「今のAIは、インターネット上の言語空間だけで学習しており、物理世界を本当の意味では理解していません」
堀内氏は、ロボット自身が五感で外界を学び、言語とリアリティ=Physical を結びつけることで、初めてAGIは完成すると考えています。その先に実現されるASIの世界は、2050年頃には確実にできていると考えているそうです。
※ AGI:汎用人工知能ASI:人工超知能
まとめ:AMATAMAの「すごさ」は共創パートナーがAI
AMATAMAが「生成AIのすごい企業」と評価される理由は、単なる技術活用の巧みさではありません。AIを自らの思考を拡張する「共創パートナー」として捉え、壮大なノーススターを描き、未来そのものを創造しようとする姿勢にあります。
生成AIを単なる道具として使うのか、それとも自らの限界を突破するパートナーとして迎え入れるのか。AMATAMAの挑戦は、私たちに、その本質的な問いを投げかけています。AMATAMAの今後が楽しみです。
連載バックナンバー
Think ITメルマガ会員登録受付中
全文検索エンジンによるおすすめ記事
- 【AI CRUNCH】生成AIのすごい企業調査レポート
- 「IoT/ロボティクス×イノベーションがもたらすビジネス革新」OBCIプレミアムセミナーレポート(前編)
- 【加速する進化】「生成AI」の今と未来-「Nolang」で体験する次世代テクノロジー
- 親子でプログラミングを学べるロボット体験会ってどんなところ?
- Pepper(ペッパー)のライバル現る
- GPTで始まる大規模言語モデル時代
- 「CL All Hands」を支えたリーダーの視点 ークリエーションラインの全社員参加型イベント成功の裏側
- 日本マイクロソフトのパートナー向けイベント「Microsoft Japan Partner Conference 2017 Tokyo」開催
- Cloud Native Wasm Dayから大規模言語モデルをWasmで実行するデモを解説するセッションを紹介
- 組み込みも、はじめの一歩はHello world